ひまわり Vol.1

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奇跡としか言いようがない命の誕生

皆さん、初めまして助産師の内田美智子です。職歴44年、約3000人の赤ちゃんを取り上げてきました。妊娠するのも奇跡、10か月おなかの中で育てるのも奇跡、母子ともに元気に出産を終えるのも奇跡、ましてや、生まれてきた子どもたちが命をつないでいくこと、私たち大人が自分の人生を生き切ることも奇跡としか言いようがありません。

全てのママたちが「産まれてきてくれてありがとう。親になれてよかった」、すべての子どもたちが「産んでくれてありがとう。生きててよかった」と思いあえる社会であってほしいと私たち出産に携わる者は思い続けています。そんな日常の中で気づいたこと・伝えたいことを少しずつ書いてみたいと思います。

今日は、「私なんか・・・どうせ・・・」って思ってる子どもたちへ

子どもたちには、今生きていられることの幸せがあることも知ってほしいし、今を精一杯生きてほしいと思います。

「特に死ぬ理由もないけど、生きる意味もないから死にます。」と書きおいて、友達二人で自殺した女子高生がいました。冗談じゃないそんな誰も納得できないような理由で死んでもらっては困ります。「母はそんな理由で死んでゆく娘を産んだつもりはない。」と、きっと悲しい毎日を送っています。

最近、終末医療に携わっているホスピス医の話を聞く機会があったり、小児がんに侵され、短い命を終わらせた子供たちの本や、小さな子供を残して旅立つ母を見守る家族の本を読む機会があり、「人はやはり死ぬんだなあ」と改めて考えました。そのホスピス医は、豊かな死を迎えるために、今を豊かに生きることが大切であると話されましたが、生れ落ちたときからいつか訪れる死ぬ日まで、次々に与えられる宿題のような人生の課題をこなしながら生きる意味を考えながら必死に、そう、皆必死に生きてゆくのだと思います。子供達にもそれはぜひ伝えたい、明日まで生きられないかもしれないという恐怖などない健康な身体と、学校に通える環境があることがどんなに幸せなことか、子供達にはその幸せを知ってほしい。つらいことも悲しいことも苦しいこともすべて生きている証なのです。

小児癌でいつも、これが最後かもしれない、明日まで生きられないかもしれないと思いながら必死に生きようとしている子供達は、身体を襲う苦痛すら、生きている実感として受け入れていました。「死を通じて生を考える」人がいて、私は毎日立ち会う新しい命の誕生を見ながら、「生」を思い、場所、立ち場は違えども、皆、人として精一杯生きてほしいという思いは同じです。みんな頑張って生きよう!

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