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ひまわり vol.10

子どもは育てたように育つ

出産が終わると、飽きるほど(・・でも飽きないのよねえ)わが子の顔を見ながら父母は子どもの名前を一生懸命考えます。やさしい子に育ってほしい・明るい子に育ってほしい・賢い子に育ってほしい・人の痛みのわかる子に育ってほしいなどなど思いは様々ですが、将来の育ちゆくわが子の成長を願いながら一生懸命考えていきます。でも「育ってほしい・こんな子になってほしい」は子どもはひとりでそうなる子はいません。親がそう育てるのです。関わっていく大人がそう育てるのです。やさしい子に・明るい子に・賢い子に・人の痛みのわかる子に育てるのです。「抱っこして!辛いよ!寂しいよ!そばにいて!」と訴える子に、手を差し伸べ、抱っこして寄り添う親がいてはじめてその時子どもは心地よさや安心感や信頼感を覚えるのです。そうやって育った子が将来隣の席で泣いているお友達に「どうしたの?」って声をかけられるやさしい・人の心の痛みのわかる子に育つのです。泣いても、抱っこもしてもらえない声もかけてもらえない子は、心地よさや安心感など感じることはありません。自分はずっと我慢して諦めて育ったのですから、人が苦しいことなどわかるはずがありません。笑いかけてもらえなかった子がどうして明るい笑顔のかわいい子に育つことができるでしょう。笑いかけ・話しかけて育てるから、にこにこ笑う明るい子が育つのです。

3回まで大丈夫と言われて、3回分のおしっこをためたオムツをさせられた子どもがどうして「おばあちゃん気持ち悪いやろ?オムツ替えようね」と将来言える子に育つでしょう。「まだ大丈夫だよ、おばあちゃん我慢しとき!」って言うしか出来ないのです。経験したこと・見た事・聞いたこと・学習したことしか人はできません。子どもは育てたように育ちます。親も自分が経験したことしかできないので、自分が育てられたように子育てもしていきます。命のリレーだけではなく育ちのリレーもしていくのです。子どもは一人では育ちません。でも、子育ては一人でしていくものではありませんから、誰かの手も借りましょう。知恵も借りましょう。助けてもらいましょう。SOSも出しましょう。きっと大丈夫

ひまわり Vol.9

タバコの煙は子供への虐待・・・

ちょっと前の話、ある保育園関係者の話で、保育園に送り迎えのために来る車の10台のうち7台は、車の窓を閉めクーラーをかけ、車内でお母さんがタバコを吸っている。そこで子ども達はチャイルドシートに座らされている。ということをいわれていました。これだけ禁煙が勧められ、禁煙箇所が増えた今7台はないと思われますが、全くなくなってはいないと思います。これは受動喫煙のほか何物でもありません。母親が喫煙者であると言うことは、父親も喫煙者である事が多く、その家の中はもくもく状態であろうと想像できます。外の喫煙場所が少なくなっている今、家庭内での喫煙は逆に増えているかもしれません。そんな環境で育つ子ども達の健康被害をみると、SIDS(乳幼児突然死症候群)の最大の原因は親の喫煙です。英国の研究では、両親の喫煙をなくせばSIDSの6割は防げると報告されています。ほかにも、喘息・呼吸器疾患の原因になることはもちろん、米国6都市の小学生の身長調査では、受動喫煙の児童ではそうでない児童に比べて平均身長が低く、小児の知能指数も下がる傾向にありました。これはタバコの煙に含まれる有害物質のひとつに鉛がありますが、受動喫煙の小児の血中鉛濃度は上昇しています。鉛は毒素が強く脳に蓄積して脳細胞を障害する作用があるために、血中鉛濃度が高いほど身体の発育が悪くなり、知能指数が下がるというデータに表されています。今若者の喫煙もあり、若い妊婦さんも例外ではありません。やめるとかえってストレスになるとか(一本の喫煙のほうが胎児にとっては有害です)タバコをやめられないので、母乳をやめるとか、赤ちゃんが大きくならないよと言うと小さく産んで大きく育てるとか、どうして自分のことしか考えられないのでしょうか。喫煙自体、有害なことは分かっていても・・・という嗜好品として楽しむ大人もいるでしょう。でも、日本小児科医会では、「タバコの煙は子どもへの虐待である」として警告しています。虐待は殴る蹴るなどの身体的暴行だけではありません。妊婦の喫煙・飲酒もそうですし、赤ちゃんを抱っこしない・話しかけない・オムツを替えない(まだ大丈夫と言う)・離乳食を与えない(朝食をとらないお母さんが子どもの離乳食もぬく)など手をかけない子育てもそうです。今、手をかけましょう。ちょっとだけ頑張りましょう。そんな時期はあっという間に過ぎますから。

ひまわり Vol.8

人と人との絆作り

もうずいぶん前の話。ハードなセミナーに参加しました。久々に試験勉強をし、ペーパーと実技の試験まで受けました。講義も朝から晩までびっしりで、休憩はわずかに5分ずつという本当に大変な3日間でした。

それは、国際ボンディング協会主催の「ベビーボンディングケアスペシャリスト養成セミナー」というものです。ボンディングって聴きなれない言葉ですが、『絆』『人と人との絆づくり』を意味します。この絆作りのためにいくつかのお手伝いをしている団体です。絆作りには様々な方法がありますが、特に「母と子」「親と子」の絆つくりを応援するためのひとつの手段としてベビーマッサージを紹介しています。

産まれ落ちた瞬間からお母さんを求めてひたすら泣き続ける新生児の話しは以前書きましたが、その大好きなお母さんやお父さんに抱きしめられてやさしく声をかけてもらえたらそれだけで、気持ちよく安心するものです。ベビーボンディングケアは、裸で全身のマッサージを勧めていますがマッサージにこだわる必要は無く、お母さんが赤ちゃんに触れていく機会を増やしていくことで、お母さんは赤ちゃんの発するサイン・赤ちゃんの感じていることを五感で感じ取ってほしいのです。言葉を持たない赤ちゃんは全身で欲求を表すはずですし、うれしいことも悲しいことも辛いことも楽しいことも皆オーラのように発するはずです。しっかり抱きしめていなければわかりません。

ご年配のある保育園の園長先生が言われた言葉が心に残っています。「乳児には肌を離さないで」「幼児には手を離さないで」「小学生には目を離さないで」「思春期の子どもには心を離さないで」とおっしゃいました。ベビーボンディングケアは赤ちゃんの時だけではなくずーっと続けてほしいのです。足だけでも手だけでも洋服の上からでも触り続けてほしい。思春期のどうしようもなくいらいらした感情を持ち合わせた女の子が、月経の時に母親におなかをゆっくりマッサージされて、まるで赤子のように静かに眠りにつく事もあるのです。

今当院では、ベビーボンディングケアスペシャリストの資格をもったスタッフが4名いて毎月ベビーマッサージ教室を開催しています。育児は大変なことも多いですが、子どもがいてこそ経験できる素敵なこともたくさんあります。ボンディングで施す方も施される方もお互いに絆の確認が出来ます。ママのほうが癒されるかも・・・参加してみませんか?日程はホームページにアップしています。

ひまわり vol.7

もうずいぶん前に六本木ヒルズの回転ドアで、子どもが事故死しました。その後いたるところの回転ドアがなくなりました。(いままた増えていますが)どうすれば事故は防げたのでしょうか。森ビルが悪い? 三和シャッターが悪い? それはそれで最低限の事故防止はして欲しかったですが、私はやはりお母さんに手を離さないでほしかった。厳しいかもしれませんが、これから長い子育てを考えるとき、やはりそのことを忘れないで欲しいです。

幼い子どもの死亡原因を見ると、0歳児では1位先天奇形や染色体異常 2位が出産後の呼吸障害 3位乳幼児突然死症候群 4位不慮の事故となっていますが、これが1歳から4歳までの幼児になると、1位は小児がんですが2位は不慮の事故による死亡です。次いで先天奇形・・心疾患となります。まさかわが子を事故で亡くすなんていうことはどの親も想像なんてしていないはずですが、子どもの事故による死亡はこんなにも多いのです。

ちょろちょろ動き始めた子どもたちにとって周りには危険がいっぱいです。子どもたちはなぜだか吸い寄せられるように危険に近づいていきます。あれも危険・これも危険といって危険物を排除すれば解決する問題ではないと思います。すべてのものを排除できるものでもなく、ましてや一歩外に出れば危険といわれるものばかりです。ではどうやってその危険から身を守ればいいのか・・・一つ一つ親が危険であること・危険であるもの・その危険からどうやって身を守ればいいのかを教えるしかなく、自分で身を守れない間は、「わが子の身はわが手で守る」ことに徹してほしい。

今、何かにつけ誰かの・何かの責任にすることばかり考える大人が少なくありません。子どもはその大人を見て育ちます。その子は何かあった時、いつも誰かの責任にするかもしれません。社会が悪い、会社が悪い、学校が悪い、行政が何もしてくれない、と言う前にわが身を振り返る余裕を持って子育てをしてほしいと思っています。自分たちにできることから始めてみてください。人を変えることは難しいですが、自分なら変われるかもしれませんよ。命がけで産んだ命は命がけで守りましょう。みんなで守りましょう。

ひまわり Vol.6

 助産師になって40数年たち、3000人強の子どもを取り上げてきました。分娩室で繰り広げられる風景は時代とともに少しずつ変わってきましたが、あの新生児の第一声が分娩室いっぱいに響き渡った瞬間の安堵感とお母さんの目にあふれる涙は変わりません。一番変わったと思えるのは、家族の立会い出産が増えたので(コロナ禍で面会や立ち合い出産が出来なくなったことが一番悲しいです)、夫の号泣する姿を見ることでしょうか・・・それはなんともほほえましく、若いスタッフがもらい泣きすることもたびたびです。私なんぞは、この年まで数々の場面にたちあって来ると少々のことではこの厚くなった頬に涙が伝わることも少なくなったのですが(ちょっと寂しい気もします)、私が今でもちょっと涙ぐみ「いいなあ」と思い、一番大好きな場面があります。それは、立会い出産が増えいろんな人たちが分娩室に入ってこられますが、いまでもそこに入って来られない(来ない)人が一人います。誰でしょう・・妊婦さんの実家のお父さんです。彼は分娩室の外の廊下で昔ながらにクマのようにうろうろするのです。そして産声を聞いてほっと安心し、スタッフに「どうぞ入られていいですよ」と言われても、まだ足を広げている娘の姿が見える分娩室に入ることはできず、ほんの10センチほどドアを開け、なんとも暖かいまなざしで「ようがんばったの!!」と一言だけ娘に声をかけ後は言葉にならず、すぐ閉めていきます。素敵でしょう?

 父親は、教育されないと父親になれないと言いますが、産むことも・乳を含ませることもできない男が父親になっていくには時間がかかります。子どもにとって最大の存在・一番大好きな人お母さんをひたすら愛することでしか二番目に大好きな人にはなりえないお父さんですが、あの暖かい眼差しと大きな(母と子を一緒に包み込む)包容力は、最大の魅力です。時代はいくら移り変わろうと、分娩室で号泣した新米パパも、20数年後同じように娘の労をそっとねぎらう素敵なパパになるに違いないと確信しています。お父さんばんざ~い

ひまわり Vol.5

泣く赤ちゃん・・・

「サイレントベビー」ご存知ですか?泣かない赤ちゃんがいます。

おかあさんがよく言います。「泣くんです。ずっと泣くんです。」ととても困ったように・・・

分娩台の上で産声を上げたときから赤ちゃんは泣き続けます。その声を聞きながらその場にいる誰もがみな、「良かった、元気な赤ちゃんで」と泣き声に拍手を送ります。ではそのずっと泣き続ける赤ちゃんはいったいいつ泣き止むのでしょうか・・・お母さんの胸に抱かれた瞬間ぴたっと泣き止みます。

臍帯から切り離された瞬間からひたすらお母さんを求めて泣きます。不安いっぱいの世界に放りだされて、唯一安心できる人を求めて泣きます。それはお母さんです。ひたすらお母さんを求めて泣き続ける赤ちゃんが、何もしてもらえなかったらどうなるか・・・泣かなくなります。無視され続けると何も感じなくなります、次第にあきらめて無表情になります。少し抱っこすることに疲れたお母さんには誰かかわってあげればいいんです。お父さんでも、おばあちゃんでも・・・そしてまた元気になったお母さんが抱っこできればいいんです。誰かに支えられて、抱っこされる心地よさ・愛される安心感を感じながら赤ちゃんは、生きる力をより発揮していきます。一人では生きていけない「人」に必要な「信頼関係」を築くことを学んでいきます。泣き続ける赤ちゃんを困らないでください。赤ちゃんにはそれしか方法がないんです。抱っこしてほしいだけです。抱っこして愛してくれる人がいることに気づいた赤ちゃんはきっとお母さんを困らせなくなると私は信じています。

「手のかからない子」にこそ手をかけてほしい。泣かない・わがままも言わない・なんでもいうことを聞く子をいい子だと思わないでください。

「これから赤ちゃんはいっぱい泣くよ、ず―っと泣くよ、お母さんが泣きたくなるぐらい泣くよ、でもそれはお母さんお母さんって泣くんよ、だから『なんで泣くの』って思わないで抱っこしてあげて!」と私は、最初にお母さんの胸に赤ちゃんを抱かせた時に言います。

でも疲れたお母さんには、誰か代わってあげてくださいね。お母さんは「疲れた!」ってサインだしてくださいね。宝物の子どもたちはみんなで育てましょう。

子宮頸ガンワクチンについて

令和3年11月26日の厚生労働省の通知により、接種推奨を再開することとなりました。

子宮頸がんのほとんどは発がん性のあるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起きることが分かっています。

  その予防として

   ①子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)接種

   ②子宮頸がん検診              

                        が言われています。

 現在日本では、年間3000人弱の女性の尊いが奪われ、10000人弱が治療を受けています。世界が子宮頸がん撲滅に向けて努力し、羅患率死亡率ともに減少しているなかで、先進国でありながら、わが国だけが微増しています。

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は早い年齢で接種するほど、子宮頸がんの予防効果が高いとされています。

当院ではシルガード9を取り扱っています。接種希望の方は事前予約が必要です。お電話にてお問合せください。

*シルガード9について*

 シルガード9はHPV 6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型の9つのウイルスの感染を防ぐワクチンです。日本人の子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーします。

子宮頸がんや肛門がん、尖圭コンジローマは、HPVというごくありふれたウイルスの感染が原因で起こることが知られています。

詳しくはこちらをご覧ください。

  https://www.shikyukeigan-yobo.jp/ MSD製薬

ひまわり Vol.4

ジェンダーフリーを目指して

ある中学校で、子どもたちに「男、女に生まれてきてよかったか?」というアンケート調査をしたところ、別の性のほうが良かったという答えが、男子では0%だったのに対して女子では20%弱ありました。この結果自体少々ショックでしたが、男子が男子でよかったという理由と、女子が女子であることが嫌な理由が同じ内容であった事にとてもショックを受けました。

男は、力が強い・自分の実力を発揮できる・差別されることが少ない・いろいろなことで選択肢が多い・子どもを生まなくていい・門限が遅い・スカートをはかなくていい・サッカー、野球ができる・言葉や態度が乱暴でもあまり怒られない・などなどで、女であることがいやな理由もこの通りなのです。これは、周りにいる大人が悪いのです。小さいときから、ジェンダーでがんじがらめにして育てているのです。ジェンダーとは、社会的・文化的に規定された性別のことです。女性と男性が、それぞれに期待される役割や責任は、文化や社会によって違いますが、性別ゆえに制約を受けることがない社会(ジェンダーフリー)を目指さなければならないと思います。ドメスティック・バイオレンス(DV)もジェンダーフリーを実現していかなければ解決は難しいと思います。

DVとは、配偶者や恋人など親密な間柄において、振るわれる暴力です。それは、殴るけるなどの身体的なことだけでなく、言葉、性行為、監視や制限、無視などさまざまな形で行われます。

家庭で、毎日の生活の中でお父さん・お母さんの会話やそれぞれに対する態度、子どもたちへの話しかけの中で、子どもたちは様々な事を敏感に感じ取り学んでいきます。無言の教育です。お父さんが、お母さんを虐げ大事にしない家庭では、男の子も女の子も、女性の素敵さや差別されることのない社会を思うことなどできません。基本は家庭です。お母さんに生き生きと生きてほしいと思います。子どもたちはじっと見ていますよ。お父さんのこともお母さんのことも・・・大好きなお母さんにいつも笑っていて欲しいのはすべての子どもの願いです。

ママ自身も、女でよかった、母になれてよかったと思えるように生きてね。でもね、そう思えないときはSOSよ。

ひまわり Vol.3

自分より大切な存在

おなかの中に爆弾を仕掛けられた感じ・はれつして腰から下が砕け散った!!

仕掛けたのは神様で、散ってばらばらに壊れたのは、「自分が一番大切という勝手な思い」、自分より大切な存在に出会いました。

これは、お産をして退院していく母になったばかりの女性が、産後の「お産の感想は?」というアンケートに書き残していったものです。たくさんのさまざまの感想がありどれも率直で紛れもない母としての感想が書かれてありますが、中でもこんなにもわかりやすく母としての気持ちを詩人のように書き記したのも珍しく、私は許可もなく方々の生教育で紹介したり、こうして書いたりしています。(ごめんなさい)もちろん私が泣いてしまったのは言うまでもありません。

こんな感想を聞いたり、毎日赤ちゃんを取り上げ、命と向き合う仕事を続けてきて思うことは、「人はそこにいるだけで価値がある」ということです。

人が一人、人として生まれてくるために、なんと多くの困難を乗り越えなければならないことか・・・心から「そこにいることがすごいことなんだよ」と叫びたくなります。

「私は、生まれてから今まで一度もお母さんの子どもでよかったと思ったことはありませんでした。生教育で先生が一生懸命はなしてくれたのは心に響いたけど、自分の気持ちを変えることはできませんでした。」ある女子中学生の生教育講演後の感想です。こんな子どもたちの心を溶かしていくことは容易ではありません。ただただお母さんに愛してもらいたい子どもたちを救えるのは、お母さんです。そしてそのお母さんを後ろで支えるのがお父さんです。家庭でしかできない教育です。母になったときの感動はどのお母さんにもあったはずです。生きるために、愛されるために生まれてきた子どもたちをどうぞ力いっぱい愛してください

お母さんが、命がけで産んだ子どもたちですから。きっと報われる日がきますから。親子で喜び合える日がきますから。でもね、でもね、きついときはSOSよ

ひまわり Vol.2

SOSは大事

前回、「みんな頑張って生きよう!と書きましたが、頑張ってばかりだといっぱいいっぱいになって、いつか爆発します。それは子どもだけではなくて大人も同じです。逃げることも、SOSを出すことも、誰かに話すこともすがることも、とても大事です。

子育ては、幸せな瞬間もたくさんありますが、つらいと感じたり、もう嫌だと思うことあります。誰にでもあります。

そのお母さんは、乳腺炎で駆け込んできました。マッサージをしながら話を聞くと、夫の転勤に伴ってこちらに引っ越してきたばかりで、社宅の周りの地理も分からず、話し相手もなく、ただ1日生後間もない幼子と過ごす日々を送っていました。出かけることもなく誰かと会話することもないまま夫の帰りを待っていました。そんなときに運良く(?)乳腺炎になり私たちのところに来られました。話しながら彼女はずっと泣いていました。私は、この母親を何とか救ってあげたい、助けてあげたいと思いました。こんな状況で子育てしても楽しいことなどなく、辛いばかりです。可愛かったはずの我が子も次第に重荷になるだけです。そんな子育てはしてほしく無いと思いました。そこで、私たちの主催する子育て支援クラブのスタッフに話をし、この母親が参加しやすい環境を作り、幸いにもクラブのメンバーに同じ社宅の方がいて、彼女にも協力してもらい、少しずつ出掛けて来てくれるようになりました。次第に友達もでき、子育てに自信を持ち始めた頃、第二子を身ごもりました。そしてこの3月クラブの卒業式を迎えました。卒業式で、私はこの母親の話をし、このお母さんのこの笑顔があるだけでもこのクラブの存在価値があるのだと挨拶しました。こんなお母さんの笑顔を見るためにクラブはできたのです

数日後、このお母さんから、お手紙が送られてきました。「ああ、この人たちは私が心の中でずっと悲鳴を上げていたことに気づいてくれたんだ」と思い、涙があふれました。あの時あのままの精神状態で子育てをしていたらと思うと、怖いです。特に何かをしてもらった訳ではないのですが、私を自然に受け入れてくれたことで、背中をぽんと押してもらったような気がします。私のように悩んでいる方はたくさんいると思います。早く、気持ちをぶつけられる人に出会えると良いなと思います。という内容でした。

育児ノイローゼも幼児虐待も紙一重のところで起きるのだと思います。皆で、社会全体で母性・幼子を支え見守ってあげたいですね。

辛いとか、きついとか、助けてほしいとか思うことがある方は、どうぞSOSを遠慮しないで発信してください。きっと誰かが気付いてくれるはずです。うちのスタッフも待っています。